【閲覧注意】マイクロサービスが「デス・スター」化した件をMermaidで完全再現してみた
AmazonやNetflixが戦ってきた「マイクロサービスの闇」。カオスな依存関係をMermaid.jsで可視化したら、エンジニアの悲鳴が聞こえてきた話。
「マイクロサービスにすれば、開発速度が上がる」
そう信じていた時期が、私たちにもありました。
しかし、現実は甘くありません。サービスが増えるにつれ、依存関係は複雑化し、いつしか巨大な宇宙要塞**「デス・スター」**が誕生します。
[!WARNING] Death Star Architecture (死の星アーキテクチャ) 各サービスが密結合し、循環参照し、どこか一つが落ちれば全滅する状態。 誰も全体像を把握できないため、リファクタリングも不可能になる。
この記事では、そんな悪夢のようなアーキテクチャをMermaid.jsで再現し、なぜこうなってしまうのか、どうすれば防げるのかを解説します。
再現:これが「マイクロサービス・デス・スター」だ
百聞は一見にしかず。ある架空のEコマースシステムの末路をご覧ください。 (※心臓の弱い方はブラウザバックを推奨します)
%%{init: {
'theme': 'base',
'themeVariables': {
'primaryColor': '#ffcccc',
'primaryTextColor': '#333',
'primaryBorderColor': '#ff0000',
'lineColor': '#ff0000',
'secondaryColor': '#eee',
'tertiaryColor': '#fff'
}
}}%%
graph TD
user((User)) --> CDN{CDN}
CDN --> LB[Load Balancer]
subgraph Frontend["Frontend Layer"]
LB --> WebApp[Web App]
LB --> MobileAPI[Mobile API]
WebApp --> Auth[Auth Service]
MobileAPI --> Auth
end
subgraph "Core Services"
Auth --> UserDB[(User DB)]
WebApp --> Catalogue[Catalogue]
MobileAPI --> Catalogue
Catalogue --> Inv[Inventory]
Catalogue --> Recom[Recommendation]
Recom --> BigData[Big Data Cluster]
end
subgraph "Order Processing (Chaos Zone)"
WebApp --> Orchestrator[Order Orch]
Orchestrator --> Pay[Payment]
Pay --> Fraud[Fraud Check]
Fraud --> Blacklist[(Blacklist)]
Pay -- "OK" --> Ledger[Ledger]
Orchestrator --> Logistics[Logistics]
Logistics --> Warehouse[Warehouse]
%% The Cycle of Death
Warehouse --> Inv
Inv -.-> Orchestrator
end
subgraph "Monitoring"
LogAgent[Logging Agent] --> Datadog[Monitoring]
Datadog --> PagerDuty[Alerting]
PagerDuty -- "Wake up!" --> DevTeam((Dev Team))
end
%% Semantic Chaos Connections (Reduced)
Recom -.-> Catalogue
Fraud -.-> UserDB
DevTeam -.-> WebApp
style User fill:#fff,stroke:#333
style DevTeam fill:#f00,stroke:#fff,color:#fff
classDef chaos fill:#ffcccc,stroke:#d00,stroke-width:2px;
class Orchestrator,Logistics,Inv,Warehouse chaos
…いかがでしょうか。
Catalogue から Inventory への依存、Orchestrator から Logistics への依存、そして Logistics からまた Inventory へ戻る依存。
これはまさに、「スパゲッティ・コード」の分散システム版です。
なぜこうなってしまうのか?
原因はシンプル。「境界線」が曖昧だからです。
モノリス(一枚岩)の時代は、関数呼び出し一つで済んでいた処理が、マイクロサービスではHTTP通信になります。そして、「とりあえずAPI叩けばいいや」という軽い気持ちで依存関係を増やしていくと、あっという間に蜘蛛の巣が出来上がります。
モノリス vs デス・スター
| 項目 | 🗿 モノリス (Monolith) | ☠️ デス・スター (Death Star) |
|---|---|---|
| 依存関係 | コード内部(コンパイル時に検知可能) | ネットワーク越し(実行時まで不明) |
| 障害の影響 | プロセスごと落ちる | 1つの遅延が全体に波及する(カスケード障害) |
| デバッグ | ブレークポイントで止めるだけ | 分散トレーシングでログを追う地獄 |
| デプロイ | 遅いが安全 | 早いが、何が壊れるか分からない |
[!TIP] アナロジーで言えば、モノリスは「大勢で一つの大部屋にいる会議」、マイクロサービスは「社員全員がリモートワークでSlackだけで会話している状態」です。 誰と誰が話しているか管理しないと、情報は錯綜し、誰も全体の意思決定ができなくなります。
解決策:可視化とオーナーシップ
このカオスを飼いならす唯一の方法は、**「地図」**を持つことです。
AmazonやNetflixのような成功企業は、この複雑なグラフをツールでリアルタイムに可視化し、**「このサービスは誰が責任を持つのか(オーナーシップ)」**を明確にしています。
- 可視化する: Mermaid.jsのようなツール(または自動生成ツール)で、常に最新の依存関係を描画する。
- 依存の方向を整理する: 循環参照(A→B→A)は絶対悪として排除する。
- ドメインを分ける: お互いに干渉しない「境界づけられたコンテキスト (Bounded Context)」を作る。
結論:地図なき旅に出るな
Mermaid.jsを使えば、上記で示したような複雑な図も、テキストエディタだけで管理できます。
もしあなたのチームがマイクロサービスへの移行を検討しているなら、まずは**「将来のアーキテクチャ図」をMermaidで書いてみてください。 その線が少しでも絡まり合っているなら、それはデス・スターの設計図**かもしれません。
“Structure eats Strategy for breakfast.” (構造は戦略を朝食に平らげる)